ポテトで有名なアイダホ州留学時代、頻繁にテイクアウトした思い出のアメリカン・チャイニーズ「Panda Express(パンダ・エキスプレス)」が、日本上陸1号店を川崎ラゾーナにオープンした。スターバックス、アウトバック、フーターズetc……、当時通っていた大学の近くにあったチェーン店で日本未上陸を探すほうが難しいくらいになっている。ファッションは言うまでもないが、アメリカのものは何でも手に入る時代になった。
当時は日本のものを目にすることがほぼ皆無(アイダホでは……)だったが、帰国してから15年が経過し、日本のファッションブランドはどの程度アメリカに進出しているのかを知りたくなり、調べてみることにした。
アイダボ州最大級のショッピングモールにおいて
まず、留学先のアイダホ州最大の都市ボイジー(人口約20万人、全米99位)にある最大級のショッピングモール「Boise Towne Square」に出店しているブランドを調べてみた。
ファッションカテゴリーでは30ブランド確認ができ、日本でも知名度の高いJ-CREW、HOLLISTER、VICTORIA’S SECRETなどが展開している。15年前にはなかった売上世界2位のスウェーデンのアパレルメーカー「H&M」も発見! H&Mがアイダホに進出していることに、個人的に驚いた。
肝心の日本ブランドだが、残念ながら見当たらない。日本関連だと2階に「Osaka Japan」と呼ばれる日本食レストランがあり、留学当時からそうであったが、日本食の人気を改めて認識した。
全米最大都市ニューヨークにおける日本ファッションブランドの存在
ボイジーでは日本ファッションブランドの実力が計り知れなかったが……。続いて、アメリカ最大都市ニューヨークに進出し、全米展開しているブランドを調べてみたが、日本ブランドの存在は極めて少ないことがわかった。
日本で売上トップブランドであるファーストリテイリングの「UNIQLO」は、2006年11月にNYで第一号店をオープンし、現在全米で49店舗を展開。2007年11月に同じくNYで第一号店をオープンした良品計画の「MUJI」は、全米で11店舗を展開している。しかし、その他は「Tomorrowland」「MOUSSY」「ENFOLD」などがNYに1店舗あるのみ。世界屈指の物作り技術をもつ日本ファッションブランドが少ないことは寂しい限りである。
トランプ大統領がもたらす日本ファッションブランドへの影響とは?
“Make America Great Again”(アメリカを再び偉大な国にしよう)を掲げたドナルド・トランプ氏が大統領選で当選した。国内の経済を活性化させると発言しているトランプ大統領就任は、日本ファッションブランドにとって追い風になるのだろうか。
期待されている経済政策としては、減税と、アメリカ国内のインフラ投資増によって雇用が活性化され、結果的に内需を拡大させるというものだ。トランプ氏の当選からドル高・円安の傾向が続いているが、今後も持続するようであれば、日本からアメリカへの輸出は有利であり、日本のブランドとしては進出の好機となる。急成長の「GU」、今後自社ブランドを展開予定の「ZOZOTOWN」、M&Aなどが活発な「Stripe International」に期待したいところだ。
留学時代は古着に夢中になっていてチェーンブランドとは縁遠かったが、周りの学生はGapやRalph Laurenを着ていたことを思い出す。当時UNIQLOのヒートテックがあれば、(アイダホは極寒なので……)どれだけ便利だったかを考えると、今も需要があるはずだ。
日本はアジアではファッション先進国であり、物作りの技術では世界のトップレベルである。国内では残念ながらアパレル市場が縮小傾向ではあるが、今後15年で、是非ともアメリカもしくは世界で活躍する日本ブランドが増えて欲しいと願っている。