クライアントからの相談に見るファッション企業の今後の課題とは
早いもので、気付けばもう2月も終わりますね。1月の年明け以降、非常に多くのクライアントを訪問させていただき、年明けのご挨拶をしつつ各企業の採用相談に関する打ち合わせを重ねて参りました。また、それに伴い非常に多くの方とも情報交換をさせていただきました。年明けの営業再開から現時点まででその数は約120件。なかなかのハイペースで打ち合わせを重ねて来ております。そしてその中から浮かび上がってきた各企業の課題に、ある共通点を感じました。
皆さんご存知の通り、ファション業界でもEC化がものすごいスピードで進んでおり、それに伴いデジタルマーケティングやECの求人が増えて来ています。EC立ち上げ当初は社内に知見をもった人材が居ないため、異業界からデジタル関連に強い経験者の採用が進められていました(その辺の動きが活発化したのは6年ほど前からですかね)。現在は、業界外から採用した人材のノウハウが継承され、自社内でも育てられるようになり、求人募集内容もファッション業界内での経験者を求める流れになって来ています。
しかし、EC化の加速によって今まで以上に収集できるようになった「顧客情報」や「各種データ」を、上手に活用しきれているブランドはまだまだ少ない現状にあり、その中でも特に、複数のブランドを抱えている企業については情報の整理と分析が大きな課題となっています。
データの統合とそこから読み解く力の重要性
これまではデータと言えばPOSデータを意味する事が多かったですが、EC化の加速により様々な情報収集が出来るようになって来ています。購入履歴は当然の事ながら、どういった商品に目が(手が)止まる事が多いのか、そのサイトに行き着くまでにどういったサイトを経由してきているのか(つまりはどういった趣味志向を持つ人と相性が良いのか)、などなど、数え上げれば枚挙にいとまがありません。そして、それらのデータを全て統合する事によってより明確な1人の顧客像(顧客ニーズ)が浮かび上がって来るわけです。しかし、このデータの統合はITの技術力と、かなりの労力を必要とします。そしてファッション業界の歴史において、ITのスペシャリストは非常に不足しています。そんな中、デジタルマーケティングの部門の責任者にシステムエンジニア出身の方が抜擢されるケースも非常に増えて来ているようです。つまり、ここから先ITの高い技術と理解を持っている人材は、どの企業からも必要とされる人材になる事は間違いありません。
一方、これらのデータを有効活用する為にはそのデータを高い精度で分析・読み取る事ができる人材が必要となります。これまで他の業界の優秀なマーケッターとも数多く会ってきましたが、医療業界や一般消費財でのマーケティングスキルはかなり進んでいます。とくにとある医療関係の企業においては、究極のone to oneマーケティングが実践されていてとても衝撃を覚えました。そうした企業に共通している事は、ずばり分析力の高さです。ファッション業界においても、「いかに高い分析力を持つか」が他ブランドとの差別化に繋がってきます。データの分析を得意とする人材もまた、どの企業からも必要とされ得る事でしょう。実際にこうした人材を求める求人はここ近年で非常に増えて来ており、今後も更に増え続けて行く事が予想されます。
IT、分析と聞くと、どうしても苦手意識を持ってしまう方も多いと思いますが、実際にその実務に携わらないとしても、「そうした力を上手く活用できるかどうか」については全ての職種において重要性が増します。
新たな技術や情報をどう活用するのか。これは決して企業としての課題だけではなく、みなさん個人のキャリアの差別化にも繋がると言えます。是非、今後のキャリアを考える上での参考にしてみて下さい。